治療薬について

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糖尿病の治療薬について

食事・運動で血糖コントロールできない場合に使用します

糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法ですが、これらで血糖コントロールが上手くいかない場合には、薬物療法を行うことにもあります。薬物療法は大きく分けて「経口薬(飲み薬)」と「インスリン注射」があります。1型糖尿病では、インスリン注射を必要とする場合がほとんどです。2型糖尿病では、食事療法・運動療法と並行して経口薬を処方したり、さらにはインスリン注射を併用したりするなどの治療が行われます。
お仕事をされていて、「1日に何度もインスリン注射ができない」など、患者様それぞれに事情があるかと思います。奈良市学園前の福島医院ではお一人おひとりのご希望やライフスタイルなどに応じて、経口薬(飲み薬)を併用して1日の注射の回数を減らすなど、できるだけ継続できる治療方針をご提案させて頂きます。

多くの方が経口薬だけで改善しています

血糖コントロールのために使用される経口薬は、現在様々な種類が開発されており、それらを組み合わせることで症状を効果的に改善できる場合があります。以前はインスリン注射を使用していた患者様でも、経口薬だけでも治療が可能となる場合もあります。インスリン注射に対して抵抗感が強く、治療をためらわれている方も、一度お気軽に当院までご相談ください。
奈良市学園前・福島医院の院長は、日本糖尿病学会から認定を受けた「糖尿病専門医」です。
京都大学糖尿病・栄養内科(現 糖尿病・内分泌・栄養内科)で糖尿病の基礎研究や診療に携った経験もあります。そうした豊富な知識・経験をもとに、最適な治療方法をご提案させて頂きます。

経口薬の種類

経口薬のタイプは大きく分けて5つ

経口薬のタイプは、その効果によって「インスリンの分泌量を増加させるもの」「インスリンの作用を高めるもの」「腸管の糖の吸収を遅らせるもの」「食後のインスリンの分泌量を増加させるもの」「腎臓での糖の再吸収を抑制して、尿からの糖の排出を促進するもの」の5つのタイプに分けられます。
これらのタイプを単独で、または複数組み合わせることで糖尿病の改善をはかります。

インスリンの分泌量を増加させる薬

・スルホニル尿素(SU)薬
・速効型インスリン分泌促進薬(グリニド製剤)

インスリンの作用を高める薬

・ビグアナイド薬
・チアゾリジン薬

腸管の糖の吸収を遅らせる薬

・α-グルコシダーゼ阻害薬

食後のインスリンの分泌量を増加させる薬

・DPP-4阻害薬

腎臓での糖の再吸収を抑制して、尿からの糖の排出を促進する薬

・SGLT2阻害薬

新しい糖尿病治療薬

インクレチン作用薬

「インクレチン」とは、食事中に腸管から分泌され、すい臓のβ細胞でインスリン分泌を増強する消化管ホルモンです。インクレチンには「GLP-1」と「GIP」があり、このうちGLP-1はすでに海外では注射薬として糖尿病の治療に使用されていたのですが、2010年に日本でも発売が開始されました。
またインクレチンは「DDP-4」という酵素によって分解されてしまうのですが、これを抑えるお薬としてDDP-4阻害薬というものがあります。これを服用することで、GLP-1よりは効果が薄いものの、インクレチンの分解を抑えて食後の血糖値を下げることが可能となります。GLP-1、DDP-4阻害薬には低血糖や体重増加などを引き起こしにくいという特徴があり、次世代の糖尿病治療薬として注目されています。(GLP-1の注射薬の一つは2017年に海外の臨床試験で、2型糖尿病患者さんの主要な心血管疾患のリスクを低下させると報告されました。)
奈良市学園前の福島医院でも、このインクレチン作用薬を取り扱っておりますので、ご希望の方はお気軽にご相談ください。

SGLT2阻害薬

SGLTとは、「ナトリウム・グルコース共役輸送体」と呼ばれるタンパク質の一種のことです。SGLTの種類はいろいろありますが、SGLT2のみ腎臓の近位尿細管という場所に限定的に存在しております。近位尿細管は血液中から必要なものを取り出して体内に取り込み、不要なものを尿として排泄する働きをします。この過程でSGLT1とSGLT2は、グルコース(ブドウ糖)を栄養分として細胞内に取り込む役割を担っています。また、90%はSGLT2の働きによるもので、健康な人では、近位尿細管のSGLT2の働きによって、血中グルコースのほとんどが再吸収され、尿糖は排泄されません。
SGLT2阻害薬は、その再吸収の働きを止める薬です。そのためSGLT2阻害薬を服用すると、過剰な糖分は尿と一緒に排出されるようになります。SGLT2阻害薬を服用すると血糖値が下がって安定したり、血液中のHbA1cの値や血圧も下がります。SGLT2阻害薬も2016年に海外の臨床試験で、2型糖尿病患者さんの主要な心血管疾患のリスクを低下させると報告されており、その効果が注目されています。